kiroku

不確かなこと

昔のことだと知っておきながら、

人はなぜ過去に執着してしまうのだろう。

私と出会う前のあの人は、どういう生活を送っていたのだろう。何を考えて、人を好きになって。私のどこが好きなのだろう。

口に出すことはなくても、気になることはたくさんある。それは、出会えたこと以上にこれまでの歳月の、少しでも多くの時間を共に過ごせなかったことを、私自身が悔いているからに違いない。

今出会えただけでも幸せなことなのに。人は欲張りだ。

 

「過ぎた事 選ばんかった道 みな覚めた夢と変わりやせんな」

 

こう物思いにふける夜は、『この世界の片隅に』の台詞を思い出し、この出会いが私と彼にとって最良の選択であればいいと願って眠る。