kiroku

不確かなこと

雪の日の記憶を共有する

 

 

「雪ふってるの、初めてみたんです。しんしんと、静かにふるんです。」

 

「雪は音をすうから。雪の日の夜はいつも以上に静かだよ。わたしはそんな日は決まってソファーに寝転んで、降り続く雪を眺めるの。うちは窓が大きいから、よく見える。外は本当に真っ暗で、寒そうで、でも家の中は暖かいからずっとこうしてられる。そんな時間を過ごすのが好きだった。」

 

「やわらかくて、手にのった瞬間に消えてしまった。」

 

「東京の雪とはちがうでしょう。」

 

「はい」

 

「また見よう。遠い地に思いを馳せて、かけあしで向かって。今度はわたしの家においで。ソファーは二人くらいは余裕だから。」